2014年 10月 22日
水郷の数奇屋 臥龍山荘 |
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山、川、月、舟ー。
土地の自然の美しさを最大限に取り入れた建築とその趣向。
それはこの場所へ足を運ばないと、きっとわからないもの。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで1ツ星を獲得した
肱川流域随一の景勝地 臥龍淵を臨む『臥龍山荘』へ。
臥龍山荘は、肱川流域随一の景勝地 臥龍淵に臨む3000坪の山荘。
この土地をこよなく愛した明治の貿易商 河内寅次郎が
構想10年工期4年という長い歳月をかけて、情熱そそいだ場所。
石垣の中に細長い石を横に並べて積んだ「流れ積み」
大小の石を混ぜ合わせるように積んだ「乱れ積み」
月に見立てて埋め込まれた大鉢。 石垣ひとつとってもこのこだわりよう。
「誇示する美よりも、慎ましやかな良質な美を」
外観は質素な農家風の茅葺屋根をもつ臥龍院も
内部は一流の職人による見事な工芸によるしつらえがー。
茶碗師、釜師、塗師、指物師、金物師、袋師、
表具師、一閑張細工師、竹細工・柄杓師・土風炉・焼き物師ー。
このために、京都から千家十職の名工たちを呼び寄せて作らせたのだとか。
臥龍山荘に築かれた何れ劣らぬ数奇屋造りの建造物の中でも
私が一番惹かれたのは、なんといってもこの場所。
懸け造りという工法で、崖の上にせり出すように作られている不老庵。
建物と庭は、お互いを引き立てるものとしてなくてはならないものだけれどー。
この小さな庵の庭として
眼前に広がる雄大な自然を借景として取り込む大胆さ。
そして裏に回って驚いたのは、地面から張り出した庇まで達する槇の木。
茶室や数寄屋風建築でこのような柱を「捨て柱」というらしいのだけれど
この庵はこの生きた槇の木の「捨て柱」を基準にして、設計・建立されていること。
これは先の部分を切った槇の木は、そこから上へ伸びることが ないという
槇の木の特性を生かして作られた手法だそう。
技術や経験を元にした、自由な遊びがいいなぁ。
またこの庵は肱川を渡る屋形舟に見立てられていて。
壁には風を表現した長い稲わらが埋め込まれていたり
天井は船底を模して、竹網代張り一枚でヴォールト状(かまぼこ型)に作られていたり。
至る所に散りばめられた趣向の数々。
遠くに山があり、その前を流れる川があり、舟がある。
この不老庵もまた、そういう一枚の絵図の中にあるのだろうね。
けれどー。
実はこの庵に施された最大の趣向は中秋の名月にあり◎
それは年に一度の中秋の名月の晩にのみ。
対岸の冨士山から昇った月が川面に映りこみ
その月明かりが不老庵の舟形天井に反射して部屋を照らすのだという。
どこまでもこの地を知り、この景観を愛した人でなければ
こんな巧妙な趣向はできない。
この土地があって、この庵がある。
いつか必ず中秋の名月の晩に、ここに帰ってこよう。
山、川、月、舟ー。
土地の自然の美しさを最大限に取り入れた建築とその趣向。
それはこの場所へ足を運ばないと、きっとわからないもの。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで1ツ星を獲得した
肱川流域随一の景勝地 臥龍淵を臨む『臥龍山荘』へ。
臥龍山荘は、肱川流域随一の景勝地 臥龍淵に臨む3000坪の山荘。
この土地をこよなく愛した明治の貿易商 河内寅次郎が
構想10年工期4年という長い歳月をかけて、情熱そそいだ場所。
石垣の中に細長い石を横に並べて積んだ「流れ積み」
大小の石を混ぜ合わせるように積んだ「乱れ積み」
月に見立てて埋め込まれた大鉢。 石垣ひとつとってもこのこだわりよう。
「誇示する美よりも、慎ましやかな良質な美を」
外観は質素な農家風の茅葺屋根をもつ臥龍院も
内部は一流の職人による見事な工芸によるしつらえがー。
茶碗師、釜師、塗師、指物師、金物師、袋師、
表具師、一閑張細工師、竹細工・柄杓師・土風炉・焼き物師ー。
このために、京都から千家十職の名工たちを呼び寄せて作らせたのだとか。
臥龍山荘に築かれた何れ劣らぬ数奇屋造りの建造物の中でも
私が一番惹かれたのは、なんといってもこの場所。
懸け造りという工法で、崖の上にせり出すように作られている不老庵。
建物と庭は、お互いを引き立てるものとしてなくてはならないものだけれどー。
この小さな庵の庭として
眼前に広がる雄大な自然を借景として取り込む大胆さ。
そして裏に回って驚いたのは、地面から張り出した庇まで達する槇の木。
茶室や数寄屋風建築でこのような柱を「捨て柱」というらしいのだけれど
この庵はこの生きた槇の木の「捨て柱」を基準にして、設計・建立されていること。
これは先の部分を切った槇の木は、そこから上へ伸びることが ないという
槇の木の特性を生かして作られた手法だそう。
技術や経験を元にした、自由な遊びがいいなぁ。
またこの庵は肱川を渡る屋形舟に見立てられていて。
壁には風を表現した長い稲わらが埋め込まれていたり
天井は船底を模して、竹網代張り一枚でヴォールト状(かまぼこ型)に作られていたり。
至る所に散りばめられた趣向の数々。
遠くに山があり、その前を流れる川があり、舟がある。
この不老庵もまた、そういう一枚の絵図の中にあるのだろうね。
けれどー。
実はこの庵に施された最大の趣向は中秋の名月にあり◎
それは年に一度の中秋の名月の晩にのみ。
対岸の冨士山から昇った月が川面に映りこみ
その月明かりが不老庵の舟形天井に反射して部屋を照らすのだという。
どこまでもこの地を知り、この景観を愛した人でなければ
こんな巧妙な趣向はできない。
この土地があって、この庵がある。
いつか必ず中秋の名月の晩に、ここに帰ってこよう。
by bukubuku_abuku
| 2014-10-22 23:56
| +201410 愛媛 大洲&怒和島